新建築住宅特集2023年2月号に3作品が掲載されました。
新建築住宅特集2023年2月号に3作品が掲載されました。
河合啓吾「SLBH9」、「SLBH11」、論考「価格の理由、大きさの意味」
神永晋吾「ハウスLS」
新建築住宅特集2023年2月号に3作品が掲載されました。
河合啓吾「SLBH9」、「SLBH11」、論考「価格の理由、大きさの意味」
神永晋吾「ハウスLS」
岡崎市のMATOYAの移転計画になります。
今回の店舗での必要な機能として、常設展示スペース、企画展示スペース、バックヤード、商品撮影スペースでした。
MATOYAはオーナーが企画ごとに作家に合わせ空間を変えて展示を行うことが多く、フレキシブルな空間が求められました。
私たちはオーナーがこの場所を運営していくための補助線となるような空間をつくることを目指しました。
今回の計画はMATOYAのロゴの文字にある正方形のグリッドの補助線を起点にプランを考えていきました。
ライン照明の正方形を空間の左右対称に配置し、この正方形のラインを床へと投影し、床の目地のラインの基準が決定しました。そのラインを起点にカウンターのデザインへと展開させました。
この過程の中で常設&企画展示スペース、既存の水回りを隠すようにバックヤードと商品撮影スペースの位置が配置されました。
今回の工事予算に合わせ、工務店さんにお願いする工事(大工工事と電気工事、左官工事等)と施主施工で行う工事(什器や塗装工事)に分けて進めていくことにしました。
プランが進んでいく中で以前のお店でも使用していたKIOSKを今回のお店に合わせて再設計し空間の中心に設置し、商品棚として利用することにした。
また常設&企画展示で使用することを想定した造作棚のパーツをMATOYAオリジナルとして設計し制作しました(こちらはMATOYAで購入可能)
写真はオープニングイベントの様子になります。
MATOYAのオーナーさんが今回の移転計画のプロセスをまとめてくれています。
https://www.matoya.net/blog/2021/12/14/114058
「SLBH6」―グリット(規則性)・越境・ズレ
敷地は比較的古く(1960~70年代)からある住宅地。使える敷地面積は140m2程度とこの辺りでは少し小さい。母屋・既存庭との関係、北側の隣家への配慮、周囲からのプライバシーの確保、内部への陽光から、建物は母屋に対して23度振って配置した。建物へのアクセスは母屋の東側(3m程度)を通り、少し振られた入り口の土間が来訪者を迎え入れる。入り口の前には周囲から守られた庭があり、ここに住まう人びとはその場所で、食事や焚火などをして交流している。
構造・構成は1間グリット(規則性)を基本とし、21本の通し柱のうち外周の柱はグリットからズラし、中央の柱を45度振り、同じ階高(2,005mm)の3層を積み上げた。1層目はGLと地続きの土間をもち、洗濯干しや登山道具などの倉庫、また庭の延長として、周辺環境やコミュニティとのインターフェースとして働く半屋内外空間を配置した。2層目は窓をもたず、周囲と物理的距離を取り、安心感のある生活の場である。3層目は360度の開口をもち、風景・光・風を取り込むバッファーとし、仮設的な床をのせ容易に生活の場を拡張することができる。
中央の階段室はグリットより45度振られ、各層とズレながら螺旋状に上がっていく。階段室とその周りの用途が互いに越境し合い、住人は各層と階段スラブを行き来するたび、あらゆる方位や上下方向へ体感的な奥行きを感じる。
ファサードは各層で異なり、ポリカーボネート波板、ヒノキ30×40mm角材による格子壁、アルミサッシとし、ヒノキ格子壁をほかの層へ越境させることで、日射遮蔽と視線の制御をしている。この格子壁は未経験の住人が施工しているが、簡易かつ綺麗につくれるようガイドとなる治具をレーザーカッターでつくり、ひとりで500本程度の木材を取り付けた。屋根は方形とし垂木は放射状に掛け、裏表のない建築としている。また、内部の階段スラブ、床の張り方向などすべて中心の柱を起点に放射状に外へ向かうようにすることで、階段室の螺旋状、各層の回遊性をもちながらも、外へ意識が向かうようにしている。住人はさまざまな居場所を見付け、間取りを更新しながら住みこなしていく。
建築の当事者になること
SLBHシリーズのほとんどは建築する際に、設計、現場管理、現場作業の3つの職能を担っているが、正直に言ってしまえば設計以外においては積極的に担いたいとは思ってはいない。私が適正と思える質と価格で他者がつくってくれるのであれば、喜んでお任せしたい。しかしながらSLBHは多くの場合においてその様にはならない。工務店批判ではなく、質のとらえ方が違うからかもしれない。それは一般論としての質のよいものが優れているばかりではなく、「適度」を見極めるつくり方も重要であると考えている。クレームのとらえ方の違いとも言い換えられるかもしれない。
設計者として、建築を実現するためにコストマネージメントはとても重要である。多くの場合、素材よりも施工方法によってコストがかかることが多い。それは独創性を求めた意匠とクレームレスにするために手を尽くし過ぎるからかもしれない。そういった部分を簡素かつ安全な設計・施工とすることで、人工を抑え素材にコストをかけることができる。SLBHは即物的なつくり方ゆえ、素材のもつ個性は建築の質に直結するため、とても重要である。
職人、私、住人が施工する場合、それぞれの質が変わらないように施工方法を設計している。DIYの前提は、価格を抑えるため、思い出づくりのために行うのではなく、家づくりの当事者になるために行っている。3者(職人・私・住人)に合わせて施工方法を設計することで、職人よりも住人の方が上手くつくることができる部分も出てくる。現在は職人ゆえに制作可能な高度なパーツも、将来的にはデジタルファブリケーションに置き換えられ、プレカット+デジファブと施工方法の設計、各要素の分離によって多くの部分をDIYでつくることができるのではないかと考えている。
自身(私・住人)が思い描いた建築を自らの手でつくり上げる本当の意味での当事者となることで、代えがたい緊張感と喜びを得ることができる。今日もそれを味わうため、設計と施工を行き来する。
■建築概要
名称:SLBH6(Super Low-cost Big House 6)
所在地:岐阜県各務原市
主要用途:住宅
家族構成:夫婦+子供2人
建築面積:52.99㎡
延床面積:105.98㎡
主体構造:木造在来工法
総工費:1600万円(造園・消費税含まず)
設計期間:2020年1月~2020年10月
工事期間:2020年11月~2021年3月
DIY期間:2021年4月~ 継続中
設計:株式会社TAB/河合啓吾
施工:株式会社TAB/河合啓吾
造園:小椋裕司
写真:新建築社
■建材表
外装/屋根:ガルバリウム鋼板小波葺き
外装/建具:アルミサッシ/サーモスL メーカー/LIXIL
外装/外壁:桧3040
内装/1階天井:硬質木片セメント板/ベランダくん メーカー/ニチハ
内装/キッチン:SUS天板 メーカー/E:Kitchen
内装/照明:LED電球(トロードフリ) メーカー:イケア
新建築住宅特集2021年7月号に「緑町の家」が掲載されました。
お施主様をはじめ、工務店さん、職人さん、関わって下さった皆様に感謝申し上げます。
母屋の土地の一部分を譲り受けた旗竿敷地に建つ住宅である。
周囲は住宅に囲われ、東西にわずかな抜け、南に母屋、北に隣家が迫る状況であった。夫婦と犬(2人+1匹)の住まいにおいて、広すぎず、狭すぎず、フレキシブルに暮らすきっかけとなるように、1間半グリッドの架構を検討する事から始めていった。
まず斜材で構成した架構を立上げ、1階部分を全てピロティにして母屋との繋がりをつくり出す。次に面材で構成した架構を立上げ、軒高を低く抑えることで隣家の採光に配慮した。最後に2つの架構体に屋根を架け、一つのボリュームに統合した。また相互に短辺方向(南北)の耐力を担うことで、長辺方向(東西)に抜けをつくり出している。
借景を取り込むエントランス、落ち着けるベッドルーム、朝日が入る食事スペース、料理に集中できるキッチン、風が抜けるランドリールーム、といったように架構によるグリッドごとの特徴と生活の繋がりを意識しながら住まい手と共に間取りを決めていった。またピロティは簡易的に間仕切ることで今後の余白としても機能する。
連続する架構が生活シーンを切り取りながらレイヤー化していくことで、日常という体験をより確かに感じられようになる。繰り返しや規則性が生活に多様さを見い出す一つの「ものさし」となることで、暮らしの豊かさに繋がるのではないかと考えた。
3Dプリンタ、レーザーカッター、ホームセンターの木材や金物で製作するバトルピンボールマシンを作りました。
下記アドレスから3Dデータをダウンロードできますので、是非つくってみてください!(木材のそりや個体差で調整する箇所はかなりありますが、、、)
データ
※製作物の保証はありませんので、楽しく作ってみてください~